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産業新聞

動き出した「再エネ・クロス発電所」、設備利用率30%も

Data:2020-10-22

今年9月4日、福島県飯舘村に国内初の「再エネ・クロス発電」が商用運転を開始した。「再エネ・クロス」とは、2つの再生可能エネルギー電源を同時に重複して活用することを意味し、今回の場合、メガソーラー(大規模太陽光発電所)敷地内に風力発電設備を併設して、1つの連系枠を使い、1つの連系点から送電する。
 
 発電所名は「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」。太陽光パネルの容量11.8MW、連系出力10MWのメガソーラーと、単機出力3.2MWの大型風車2基、合計出力6.4MWの風力発電設備を併設した。発電した電力は東北電力に全量売電する。
 
 太陽光と風力からの発電電力を22kⅤで合成して1つの連系変電所で昇圧し、東北電力の66kⅤ送電線に接続する。売電量は、太陽光と風力設備に個別のメーターがあり、それぞれの発電量に売電単価を乗じて、売電量が算出される。
 
「連系枠」を有効活用
 福島市から県道12号線を走り、飯舘村に入って間もなく、信号のないT字路を南に曲がるとすぐに新田川を渡る。林間の狭い山道をクルマで10分ほど登っていくと、まず下から見上げるように太陽光パネルが目に入る。さらに進むと視界が開け、斜面に並んだアレイ(パネルの設置単位)の向こうに巨大な風車2基が、そびえ立っている。
 
 山肌に整然と並べられた、濃紺の太陽光パネルと、空を突き刺すように立ち、ゆっくりと回る白い風車のブレード(羽根)、そして裏山の緑のコントラストが鮮やかだ(図1)。
動き出した「再エネ・クロス発電所」、設備利用率30%も
図1●「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」
(出所:日経BP)
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 飯舘村の「再エネ・クロス発電」では、太陽光と風力を合わせた発電量が、接続契約した連系枠の10MWを超えそうな時に太陽光と風力発電の出力を統合制御し、出力を抑制することで、連系枠を超えないようにする。
 
 太陽光と風力を個別に連系して運用した場合、設備利用率は平均的に太陽光で約15%、風力で約25%となるが、合成出力として1つの連系枠内で運用した場合、連系変電設備の利用率は約30%まで向上し、限られた連系枠を効率的に活用できるという。
 
出力抑制量は年間1~数%
 事業主体は、東光電気工事が55%、飯舘村が45%出資して設立した特定目的会社(SPC)「いいたてまでいな再エネ発電」となる。EPC(設計・調達・施工)およびO&M(運営・保守)サービスは、東光電気工事が担当する。
 
 同発電所は、長年使われず荒地になっていた飯舘村所有の牧草地約14haを、大規模に造成せず土地なりに太陽光パネルを設置した。パネルは三菱電機製の単結晶シリコン型、パワーコンディショナー(PCS)は東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製を採用した。 増設した風力設備は米GE(ゼネラルエレクトリック)製の3.2MW風車2台になる(図2)。
図2●太陽光パネルは三菱電機製、PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製、風力設備は米GE製を採用した
(出所:日経BP)
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 年間発電量は太陽光と風力を合わせて2万7000kWhを見込む。これは一般家庭約4100世帯分の消費電力に相当し、1万3500t程度のCO2削減効果が見込める。
 
 風力発電は夜でも発電することに加え、平均的に晴天時は風が弱い一方、風の強い日は曇りや雨が多いなど、もともと太陽光と風力発電は、補完的な関係にある。
 
 東光電気工事のシミュレーションでは、11.8MWの太陽光パネルと6.4MWの風力設備を統合制御した場合、出力抑制量は、年間で1~数%に留まる結果になった。出力の抑制が必要なケースは、太陽光の発電量が多くなる春季の晴天時に強い風が吹いた場合など、限定的になりそうという。
 
 抑制量が少なくて済む背景には、同発電所の太陽光パネル容量が連系出力10MWに対して11.8MWと、相対的に「過積載」比率が小さいこともある。メガソーラーの発電量はシステム損失を考えると晴天時でも8MW程度のため、概ね2MWの余裕がある。一方、風力発電で定格に近い6MWを出力するのは風速10m/sを超える強風時に限られる。
 
太陽光を優先して売電
 とはいえ、刻々と変動する太陽光と風力の発電量を常に監視し、10MWを超えずに売電量を最大化するリアルタイム制御には、高度なノウハウが必要になる。
 
 実は、東光電気工事は、こうした考え方に近い風力の制御方法でノウハウを持っていた。複数の風車で構成されるウインドファームでは、例えば、10MWの連系枠に対して、定格出力12MW分の設備を導入し、連系出力が10MWを超えないように、各風車のPCS出力を抑えるように統合制御している。これを「フォームコントロール」という。
 
 飯舘村での再エネ・クロス発電では、ファームコントロールで運用する風車の1つが、メガソーラーになったと考えれば、同じ制御手法が応用できる。ただ、太陽光と風力では、売電単価が異なる。今回の場合、太陽光は40円/kWh、風力は22円/kWhのため、売電単価の高い太陽光を優先し、風力発電の出力を抑制する、という制御が基本になる。
 
具体的には、太陽光のPCSと風力発電設備のPCSの両方を監視して、出力を最適に抑制する「クロス制御」システムを組み込んでいる(図3)(図4)。
図3●右が太陽光の送電設備と連系変電設備、左が風力の送電設備とクロス制御監視収納盤
(出所:日経BP)
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図4●クロス制御監視収納盤
(出所:日経BP)
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 今回のクロス制御では、風力に対する出力抑制を主体にしつつも、10MWを超えそうなギリギリの局面では、太陽光の出力を制御することで総出力を微調整している。というのは、風力発電設備の特性上、瞬時での出力制御には限界がある一方、TMEIC製のメガソーラー向けPCSは応答性に優れるため、例えば、急峻な出力増に対応して瞬時に出力を抑制し、10MWからの逸脱を回避するような機敏な制御が可能という。
 
 今後、こうした考え方による「クロス制御」により、事前のシミュレーション通りに「設備利用率30%」を達成できるか、注目される。「クロス制御」の発展形としては、併用する再エネの売電単価によっては太陽光を優先して抑制したり、連系協議が認められれば、離れたサイトの太陽光と風力を1つの連系枠で接続するなど、応用範囲は広そうだ。
 
 系統への送電量を空き状況に合わせてリアルタイムで制御する、こうした手法は、国が計画している「ノンファーム接続」を先取りしているとも言える。
 
メガソーラーに「後付け」
 実は、「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」は、もともと太陽光だけの出力10MWのメガソーラー「いいたてまでいな太陽光発電所」として設計・建設し、2016年3月に稼働した。その後、運用が始まってから、風車を併設して、「再エネ・クロス発電所」に名称を変更した。 
 
 福島県飯舘村は、豊かな自然に恵まれた阿武隈高原にあり、約75%を森林が占める。東日本大震災後の原発事故により、「計画的避難区域」に指定され、全村避難が続いていたが、2017年3月に一部地域を除いて避難指示が解除され、復興に向け動き出した。
 
 2016年7月に役場機能が村の本庁舎に戻り、翌年8月には県道12号線沿いに「いいたて村の道の駅までい館」が開所した。こうした村復興のシンボルとなったのが、避難指示解除に先駆け、2016年3月に稼働したメガソーラーだった。
 
 太陽光パネルは、それぞれ1km程度離れた3つのサイトに分けて設置した。出力6MWの西サイト、2.5MWの東サイト、1.5MWの北サイトだ。3サイトは、延べ6kmほどの22kVの自営送電線によって接続している。
 
 今回、風車を設置したのは、面積と出力規模で最大となる西サイトになる。飯舘村で最高峰の花塚山に連なる山々に位置する南斜面で、北端は山の稜線になるため、風況に優れる(図5)。
 
図5●山の稜線に位置して風況の良い西サイト
(出所:日経BP)
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 西サイトには、見学者の積極的な受け入れを想定し、鉄骨製の展望台を建てていた。「クロス発電」になったことで、10m程度の最上階に上がると、約2万3000枚のパネルとともに、2本の風車が一望できる。
 
電波中継施設に配慮
 メガソーラーの建設時には、風力を増設して「クロス発電」にする計画はなかった。こうしたアイデアが持ち上がったのは、飯舘村として太陽光に加えて、風力発電の開発を模索していたこと、東光電気工事も風力発電の実績が豊富だったことがある。一方で、風力開発の進んでいる東北電力管内では、風力の連系枠の確保が難しかった。
 
 西サイトの北側は、比較的、風況も良いと予想され、隣接地も村有地のため、2016年8月に風況調査タワーを設置し、1年間風速データを収集した。その結果、年間の平均風速が、6m/sを超え、見込み通り風力発電の適地と分かった。
 
 メガソーラーへの風車の増設では、連系設備を共用する上、今回の場合、地下ケーブルの工事でも、太陽光の空き管路が利用できるなど、経済メリットが大きかった。東光電気工事と飯舘村で事業性を検討し、「クロス発電」に挑戦することになった。
 
 だが、思わぬ障害が出てきた。風況調査で風力発電の適地と分かり、着工準備に入った矢先、西サイトの東にあるテレビ電波中継施設への影響が危惧され、さらに1年間かけ、今度は電波へ影響を調査する必要が出てきた。その結果、問題ないという結果だった。ただ、慎重を期して、当初サイトの北端だった風車の設置位置をやや南にずらして、電波ヘの影響をさらに小さくすことになった(図6)(図7)。
図6●当初のクロス発電所の完成予想図。風車は北端に設置する予定だった
(出所:東光電気工事)
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図7●完成したクロス発電所では、風車の設置場所を当初の位置からやや南にずらした
(出所:日経BP)
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 これにより、風車2本の設置に伴う太陽光パネルのレイアウト変更の範囲が増え、移設したパネルは66アレイ分で、合計1848枚に上った。ストリング(太陽光パネルの直流回路)構成を維持しつつ、これだけのパネルを移動させるのは当初、至難の業と思われたが、サイト西側を新たに造成するなどしてスペースを確保し、最終的に移設に成功した(図8)。
 
図8●サイト西側を造成してスペースを確保
(出所:日経BP)
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景観問題が持ち上がる
 さらに完成の最終段階となった今年5月、風車を巡る景観問題で、隣接する川俣町からクレームがあった。飯舘村は事前に、「川俣町から風車は見えない」などと説明していたにもかかわらず、実際には、山の稜線を超えて、町からも確認できたからだ。
 
 風力発電事業は、一定以上の設備容量になると国や自治体による環境影響評価(アセスメント)の対象となるが、今回は、6.4MWに抑えたため、法や条例によるアセスの対象にならなかった。ただ、飯舘村と東光電気工事は、自主的に簡易的なアセスを実施した。
 
 その自主アセスの内容では、川俣町からはほとんど視認できないという表現だったことが、問題の発端となった。飯舘村は、これを受け、川俣町に謝罪するとともに9月23日に川俣町、飯舘村、発電事業者(いいたてまでいな再エネ発電)による3者協定を結び、風力設備による町民の健康や安全・安心の確保に関し、3社の責務を明記した。
 
 「クロス発電所」の完成は、当初2018年12月だったものの、こうした相次ぐトラブルで2年近く遅れた。難産となった背景には、風力発電の開発には、太陽光以上に地域周辺に配慮すべき点が多いことがある。東光電気工事は、風力設備の建設には豊富な実績を持つものの、風力発電事業者となるのは、飯舘村の「クロス発電」が初めてになるという。
 
 ただ、こうした試行錯誤に値するだけ、「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」から得られる知見は多くなりそうだ。名称にある「までい(真手)」とは、ゆっくり、丁寧なという意味の東北弁で、飯舘村は、東日本大震災の起きる前から「大いなる田舎 までいライフいいたて」を掲げ、「低炭素型田園ライフ」を標榜してきた。
 
 村有の牧草地だったエリアにパネルを敷き詰め、その上をゆったりと回る大型風車は、原発事故を乗り越え、エネルギー自立しつつ雇用を生み出す、新しい形の「低炭素型田園ライフ」をリードするプロジェクトになりそうだ(図9)。
図9●難産の末、完成した「いいたてまでいな再エネ・クロス発電所」
(出所:日経BP)
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