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Data:2018-07-19
前回、紹介した「雪の重みで太陽光架台が倒壊、設計ミスが原因か」のうちの1カ所では、もう一つ大きな不具合が起きていた。
主に後半で触れた、毎年のように一定の降雪がある場所に立地しながら、設計ミスと思われる要因によって、積雪の後、架台が曲がったり、地面に向かって沈み込むといった損傷が生じていた発電所である。太陽光発電架台の多くの箇所で高さの不足を補う部材(スペーサー)も追加されていた。架台の高さが足りず、太陽光パネルを固定できなかったため、追加的に補ったと思われる。
エネテクによると、この発電所では、他の部分にも設計や施工のミスによる不具合が見られた。そのうち大きなものが、太陽光パネルを接続するコネクターや、その周辺の電線の多くが、溶けたり焼損したりしていたことだった(図1)。
低圧配電線に連系している13基の太陽光発電所で構成され、合計208回路の直流回路のうち、約4分の1となる54回路でコネクターが損傷していた。
原因を調べてみると、いくつかのミスが重なった上、落雷の影響で生じたことが推察できた。
まず、不適切なコネクターを使っていることが問題だった。焼損などが起きていた場所のほとんどは、太陽光パネル同士を接続している部分ではなかった。太陽光パネルと小型のパワーコンディショナー(PCS)を接続しているコネクターだった。太陽光パネルを直列に接続し、最後にPCSと接続する回路の端部となる。
太陽光パネルメーカーは、パネルにコネクターを取り付けた状態で出荷する。一般的には、「MC4」と呼ばれる規格に基づいたコネクターが採用されている。この規格品同士の接続は、ほぼ問題がなかった。
一方、PCS側は、施工会社が用意したものが使われる。この発電所では、そこに正規の「MC4」コネクターではなく、「MC4」の「互換品」が使われていた。コスト削減が理由とみられる。この「互換品」が、実際には適切に接続できない、劣悪な製品だったようだ。
こうした適切ではないコネクターを使った場合、電線の芯線を適切に接続できない恐れがある。芯線同士がうまくかみ合わない、ちょっとした衝撃ですぽっと抜けてしまうといったことから、接続の不具合や断線が起きやすいという。
これに加えて、不適切な施工が、損傷に至る可能性を高めたと見ている。
PCS側に用意された「互換品」は、品質に問題があるためか、「MC4」のコネクターとすんなりと適切に接続できない製品も多かったとみられる。
その上、施工者の不適切な作業が重なり、コネクター同士の締め付けが緩かったり、コネクター同士の圧着が不十分だったりしたほか、うまく噛みあわないコネクター同士をなんとか接続しようと、不適切な角度で力任せに押し込んだりした場所で、焼損などが起きたのではないかと見ている(図2)。
不十分な品質に加え、施工の不具合が重なったことが、焼損が起きた背景にあると予想している。
同社では、多くの発電所で、同じような原因と見られるコネクターの損傷を見てきたという。コネクター内の抵抗が過剰に高くなり、最終的に焼損に至ることがある。
こうした焼損のプロセスは、コネクターが溶けたり焦げたりした結果、部分的に焼け落ちるように断線した状況や、付近の太陽光パネル裏や太陽光発電架台の焦げ方からも推定できるという(図3)。
ただし、今回のケースでは、不適切なコネクターの採用と施工ミスだけで、これだけの規模の損傷を説明できないとも見ている。
これらの原因で、PCSとの接続部のコネクター内の抵抗が過剰に高まっていたところに、落雷を受けたことで、高い電圧に耐えきれず、部分的に焼け落ちるような状況に至ったのではないかとしている。
焼損したコネクターの多さから、誘導雷ではなく、直撃雷を受けた可能性もあるとみている。
発電所の所有者は、当初の計画通りの発電量を得られていないことから、転売することを考え、エネテクに点検を依頼し、こうした状況がわかった。
太陽光発電架台が積雪に十分に耐える設計となっていなかったうえ、太陽光パネルとPCSを結ぶコネクターでも不適切な設計・施工が原因とみられる焼損が重なり、大きな発電ロスが生じていることがわかった。
こうした発電所では買い手を見つけることは難しく、転売を断念したようだという。適切な設計や施工の重要性を改めて認識させられる例と言える。
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